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快適で健康的なサロンデザインのためのヒント

#店舗・クリニック

健康と快適さを兼ね備えたサロンデザインの基本
エステサロンやヘアサロンのデザインは、単に見た目の美しさだけでなく、従業員と顧客の健康と快適さにも配慮することが重要です。実際に、多くの美容師が筋骨格系疾患(MSD)に悩まされており、その主な原因は反復的な動作です。しかし、適切なハードウェアや家具を選ぶことで、これらの問題を軽減することが可能です。本記事では、エルゴノミクス(人間工学)に基づいたサロンデザインのポイントを紹介し、従業員の健康を守りながら快適な作業環境を整える方法を株式会社SPACE PRODUCEが探ります。

1.筋骨格系疾患(MSD)の現状

美容業界では、多くのスタイリストが筋骨格系疾患(MSD)に悩まされています。具体的には、約75%のスタイリストが手や指、肩、首、背中に痛みや不調を感じています。これらの症状は、長時間にわたって同じ姿勢を維持したり、繰り返し同じ動作を行うことが主な原因です。例えば、シャンプーやカット、ブローといった日常的な業務が、時間を重ねるごとに体に負担をかけます。このような状況が続くと、スタイリストの健康だけでなく、仕事の質や効率にも悪影響を及ぼします。

エルゴノミクスとは?

エルゴノミクスは、人間の動作や作業環境を最適化するための科学です。これを美容業界に取り入れることで、スタイリストの体にかかる負担を軽減し、長時間の作業でも快適に過ごせるようになります。例えば、高さ調節が可能な椅子やシャンプーステーション、軽量で持ちやすいドライヤーやブラシなど、エルゴノミクスに基づいたデザインの家具や道具を選ぶことが重要です。

具体的には、シャンプーステーションでは、スタイリストが無理な姿勢を取らずに済むように、椅子の高さを調節できる機能があると便利です。また、作業台やミラーの高さも、スタイリストが自然な姿勢で作業できるように設定することが大切です。これにより、スタイリストの体への負担が減り、より効率的に仕事が進められるようになります。

エルゴノミクスを考慮した道具選びも重要です。軽量のドライヤーやシリコンハンドル付きのブラシは、手や手首への負担を軽減し、長時間使用しても疲れにくいです。これにより、スタイリストは快適な環境で作業でき、結果的にサービスの質も向上します。

エルゴノミクスを取り入れたサロンデザインは、スタイリストの健康を守りながら、作業効率を向上させるための重要なポイントです。これにより、従業員の満足度が高まり、顧客へのサービスも向上します。

2.エルゴノミクスを考慮したサロン家具の選び方


調節可能な椅子とシート

サロンでの作業効率を向上させるためには、調節可能な椅子やシートが不可欠です。例えば、シャンプーステーションの椅子に高さ調節機能があれば、スタイリストは無理な姿勢を取る必要がなく、作業中の身体的負担を大幅に軽減できます。高さを調整できることで、スタイリストは自然な姿勢で作業でき、長時間の作業でも疲れにくくなります。また、顧客にとっても快適な座り心地が提供され、リラックスした時間を過ごすことができます。

軽量のヘアドライヤーとシリコンハンドル付きブラシ

サロンで使用する道具も、エルゴノミクスを考慮した選び方が重要です。例えば、軽量のヘアドライヤーを選ぶことで、スタイリストの手や手首にかかる負担を軽減できます。また、滑りにくいシリコンハンドル付きのブラシは、握りやすく長時間の使用でも疲れにくいという利点があります。これにより、スタイリストは快適な状態で作業を続けられ、結果的にサービスの質も向上します。

洗髪ステーションの設計と配置

洗髪ステーションの設計は、スタイリストの身体にかかる負担を考慮することが非常に重要です。多くのスタイリストは、後方からの洗髪が側方からの洗髪に比べて身体に優しいと感じています。側方洗髪は身体をひねる動作が必要となり、特に腰や背中に負担がかかりやすいです。そのため、後方洗髪の設計を採用することをお勧めします。

洗髪ボウルの間隔

洗髪ボウルの配置にも工夫が必要です。後方洗髪の場合、シャンプーボウル間の最低間隔は約81cmを確保し、肘を自由に動かせるスペースを提供しましょう。これにより、スタイリストが自然な動きで作業でき、効率も向上します。側方洗髪の場合は、間隔を約107cm以上にすることで、より広い作業空間を確保し、スタイリストの身体への負担を軽減できます。

以上のポイントを考慮することで、サロンはスタイリストの健康を守りながら、快適で効率的な作業環境を提供することができます。これにより、従業員の満足度が高まり、結果的に顧客満足度も向上するでしょう。

3.健康を考慮した床材の選び方

サロンの床材選びは、スタイリストの健康と快適さに大きく影響します。多くのサロンでは、耐久性と水への強さを理由にセラミックタイルを採用しています。しかし、セラミックタイルは硬く、長時間立ち続けるとスタイリストの足腰に負担がかかることが問題です。ここでは、健康と快適さを両立させるための床材選びのポイントを紹介します。

洗髪ステーションに適した床材

洗髪ステーションでは水の飛散が避けられないため、水に強いセラミックタイルは適しています。セラミックタイルは水に強く、清掃も簡単で衛生的です。しかし、その硬さから、スタイリストが長時間立ち仕事をするのには適していません。そのため、洗髪ステーションのみセラミックタイルを使用し、スタイリストの動線や顧客が移動するエリアには別の床材を選びましょう。

衝撃吸収のラミネートフローリング

その他のエリア、特にスタイリストが長時間立ち作業を行うスペースには、衝撃を吸収するラミネートフローリングをお勧めします。ラミネートフローリングは、柔らかく足腰への負担を軽減する効果があります。加えて、耐久性も高く、見た目もスタイリッシュです。これにより、長時間の立ち仕事でも疲労を感じにくくなり、スタイリストの健康維持に役立ちます。

総合的な床材選びのポイント

サロン全体のデザインと機能性を考慮し、エリアごとに適切な床材を選ぶことが重要です。例えば、受付や待合スペースにはデザイン性を重視した床材を、作業スペースには機能性を重視した床材を選ぶと良いでしょう。これにより、スタイリストと顧客の両方にとって快適な空間が実現します。

以上のように、エリアごとに最適な床材を選ぶことで、サロン全体の快適さと機能性を向上させることができます。スタイリストの健康を守りながら、魅力的なサロン空間を作り上げるために、床材選びには慎重な配慮が必要です。

4.エルゴノミクスを考慮したワークステーション設計


ワークステーションの高さと配置

ワークステーションを設計する際には、道具の配置高さが非常に重要です。特に、ヘアドライヤーやフラットアイロン、カールアイロンといったホットツールは、スタイリストが無理なく手に取れる位置に配置することが求められます。具体的には、床から34~36インチ(約86~91cm)の高さに設置するのが理想的です。これにより、スタイリストは自然な姿勢で作業を続けることができ、身体への負担を軽減できます。

また、ミラーの高さも重要です。スタイリストが顧客の顔をしっかりと見ながらカットやスタイリングを行えるように、ミラーの高さを適切に調整しましょう。顧客の顔が常に視界に入ることで、より正確で満足度の高いサービスを提供できます。

ワークステーション間のスペース

各ワークステーションの間隔にも注意が必要です。スタイリストがスムーズに動けるように、各ワークステーションの中心から中心までの距離は54インチ(約137cm)を確保するのが理想です。このスペースが確保されていれば、スタイリストは動きやすく、互いに干渉することなく作業が行えます。

十分なスペースを設けることで、スタイリスト同士のコミュニケーションも円滑になり、チームワークが向上します。また、顧客にとっても広々とした快適な空間が提供され、リラックスして施術を受けることができます。

全体的な設計のポイント

ワークステーションの設計では、スタイリストの動線を考慮し、作業効率を最大限に高める工夫が求められます。道具の配置や高さ、ワークステーション間のスペースを適切に設定することで、スタイリストの身体的負担を軽減し、快適な作業環境を提供できます。これにより、スタイリストの満足度が高まり、結果的に顧客満足度も向上するでしょう。

エルゴノミクスを考慮したワークステーション設計は、スタイリストの健康を守り、効率的で快適な作業環境を提供するための鍵です。これにより、サロン全体のサービス品質が向上し、より多くの顧客に満足してもらえるサロン運営が実現します。

5.カットとスタイリングチェアの特徴


カットとスタイリングチェアの特徴

カットとスタイリングチェアの選定は、サロンの作業効率とスタイリストの健康を左右する重要な要素です。適切なシリンダーの高さを持つチェアを選ぶことで、スタイリストは無理な姿勢を取ることなく作業でき、長時間の施術でも快適さを維持できます。

シリンダーの高さ調節

シリンダーの高さが調節可能なチェアは、スタイリストの個々の身長や作業スタイルに合わせて最適な高さに設定できます。具体的には、ショート、スタンダード、高シリンダーのいずれかを選べるチェアが理想的です。これにより、スタイリストは無理な体勢を避け、自分に最も適した高さで作業を行うことができ、腰痛や肩こりのリスクを減らします。

快適さと機能性の両立

チェアの座面や背もたれのクッション性も重要です。柔らかいクッションが施されたチェアは、長時間座っている顧客に快適さを提供します。さらに、360度回転する機能や、背もたれのリクライニング機能が付いたチェアは、スタイリストが様々な角度から施術を行いやすくなり、作業効率が向上します。

顧客の満足度向上

顧客にとっても、快適なチェアは重要なポイントです。長時間の施術中に快適に座っていられることは、顧客満足度を高める一因となります。高品質なチェアを導入することで、顧客はサロンでの時間をリラックスして過ごせ、再訪率も向上するでしょう。

投資としての価値

高品質なカットとスタイリングチェアは長期的な投資として価値があります。耐久性のあるチェアを選ぶことで、頻繁な交換の必要が減り、長期的に見ればコスト削減にもつながります。初期費用が高く感じられるかもしれませんが、その快適さと機能性は、スタイリストと顧客の両方にとって大きなメリットとなります。

エルゴノミクスを考慮したカットとスタイリングチェアの選定は、サロンの成功に不可欠です。スタイリストの健康と効率を守り、顧客の満足度を高めるために、最適なチェアを選びましょう。

まとめ

エルゴノミクスに基づいたサロンデザインは、スタイリストの健康を守り、作業効率を向上させるために非常に重要です。調節可能な家具や軽量のツール、適切な洗髪ステーションの配置、健康を考慮した床材の選択など、さまざまな要素を考慮することで、快適で効率的な作業環境を実現できます。これらのポイントを取り入れることで、サロンの経営者は従業員の満足度と顧客の満足度を向上させ、より健全なビジネスを展開することができるでしょう。
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