保険診療と自由診療を分ける空間設計の考え方
美容皮膚科では、保険診療と自由診療の両方を扱う場面が増えてきました。どちらの患者様にも快適に過ごしていただくためには、待合や受付、診察室の「ゾーニング」をどう計画するかが重要になります。完全に分けるのか、それとも緩やかにつなぐのか。その工夫は、日々の運営や患者様の印象を大きく左右します。本稿では、株式会社SPACE PRODUCEの小林佐理が空間デザインの視点から解説します。
ゾーニングを考える意味

保険診療と自由診療を同じクリニックで行う場合、患者様が求める体験には違いがあります。短時間での受診を重視する方と、落ち着いた環境や安心感を望まれる方とでは、空間に対する期待も異なります。その違いを調整し、誰にとっても過ごしやすい環境をつくるためにゾーニングが役立ちます。
完全分離型の特徴
待合・受付・診察室をそれぞれ分ける「完全分離型」は、利用目的の異なる患者様を明確に振り分けられる方法です。心理的な摩擦を避けやすく、自由診療の患者様には落ち着いた雰囲気を、保険診療の患者様には効率的な受診環境を提供できます。
ただし、必要な面積や内装コストが増えるため、小規模物件では難しいケースもあります。また受付や動線が複雑になり、スタッフの負担が増す場合もあるため、実際の運営体制と合わせて検討することが大切です。
緩やかなゾーニングの特徴
「緩やかなゾーニング」は、一体感を持たせながらも雰囲気で空間を分ける方法です。
例えば、待合室を共通としながら、座席の向きや照明のトーン、仕上げ材の選び方を工夫することで、自然にエリアを分けられます。自由診療のエリアには落ち着いた色調やゆとりある配置を取り入れ、保険診療エリアには明るく効率的なレイアウトを採用するなど、同じスペースでも異なる体験を演出できます。さらにスタッフの動線を一本化できるため、運営の効率性を保ちながら柔軟に対応できるのも利点です。
クリニックに多い選択傾向
近年、二院目や分院を計画される先生方は、完全分離よりも緩やかなゾーニングを選ばれるケースが多く見られます。初期投資を抑えつつ、実際の運営を始めてから調整しやすいためです。また、医療スタッフの皆さまにとっても動線管理がしやすく、患者様にとっても過ごしやすい空間を実現できるため、結果的に経営面でのプラスにつながりやすい方法といえます。
最後に
保険診療と自由診療のゾーニングは、単なる空間の仕切りではなく、患者様の体験価値やクリニックのブランドイメージを形づくる要素です。完全分離型と緩やかなゾーニング、それぞれの特徴を理解し、物件の条件や診療スタイルに合わせて検討することが重要です。
さらに詳しい事例や最適な設計のご提案については、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを踏まえ、クリニック運営に関わる皆さまにとって価値ある空間デザインをご提供いたします。



