比較的に筋肉量が男性よりも少ない女性は、冷え性になることが多いそう。そうした性別の違いや体型の違いなどによって、同じ室内でも寒さや暑さの感じ方は異なります。社員数が多ければ多いほど個々人の要求、理想を完全に叶えることは難しいかもしれませんが、室温について少しでも多くの社員が働きにくさを感じないで済む解決策を紹介します。
社員個々人で対応してもらうだけでは無責任!? 会社も努力が必要な理由
冷え性の女性にインナーを着込んでもらったり、ブランケットなどを用意してもらったり、あるいは暑がりの男性にクールビズなどの涼しい服装にて勤務してもらったりなど、社員個々人で対応をお願いしている企業も少なくないと思います。会社と社員は持ちつ持たれつの部分もありますが、任せっきりが決して良いとは言えません。
従業員満足の観点からも、そうした対応を負担と感じさせてしまっているとしたら、満足度のポイントは下がってしまっていることでしょう。また、冷え性も暑がりも腰痛や風邪など、さまざまな体調不良の要因ともなりかねません。そうした不具合が体に生じれば、当然仕事のパフォーマンスも低下するわけですから、会社として無視することはできない問題と考えるべきでしょう。
フリーアドレスを採用して、温度的に働きやすい場所を選べるようにする
オフィスの中でも、物理的に室温の感じ方が変わってきます。例えば、窓が近いエリアであれば、日差しや窓からの冷気など、自然環境の影響を直に受けるため、夏場なら冷えすぎない、冬場なら暑すぎないエリアとなります。また、空調機器の設置位置やオフィス什器やレイアウト等の関係で空調の風が届きにくい場所などもできてしまうものです。
そうした同じオフィス内でも、ギャップは生じてくるのです。そんな中、今日までのオフィスによく見られていた固定席では、その条件下に社員自身が適応しなければならないため、先述のような対応を社員に強いてしまうことになります。それよりも、オフィス内の環境の違いを逆手に取って、フリーアドレスを採用し、暑さを感じやすい人、寒さを感じやすい人、それぞれが同じ環境下で働きやすい場所を選べるようにすると、室温の悩みは軽減されるはずです。
空調ゾーニングの考え方を変える
従来であれば、ペリメーターソーンと言われるオフィスの外周部とインテリアゾーンと言われる内周部は、上記のように自然環境から受ける影響が異なるため、その差をなくすような空調ゾーニングの考え方が採用されることがしばしばでした。しかし、社員に冷えや暑さの感じ方が異なるわけですから、あえて「差をなくさない」ような空調設計を行うことも考慮して良いでしょう。
リフレッシュルームで、軽い運動・ストレッチができるようにする
冷え性はもちろんのこと、男性に多い暑がりの原因もじつは血流の悪さが原因だったりします。オフィスワーカーが血流を悪くしてしまう要因となっているのは、やはり同じ姿勢で長時間の勤務を続けていることにあるようです。もちろん食習慣の影響なども無関係ではありませんが、交通網の発達などにより体を動かさないことが多くなった現代人はどうしても血流が悪くなりがち。
それならばリフレッシュルームなど、使用用途に自由度の高い空間を設けて、簡単なストレッチ運動を行うことができるようにして上げることもできます。冷え性に限らず、同じ姿勢で働き続けるオフィスワーカーにとっては、肩や首のこりなどの苦痛を抱えているケースも少なくありません。そうした社員にとっても、体を伸ばしたり、温めたりできる空間があることは、辛さの改善になるとともに、文字通りリフレッシュにつながることでしょう。
パーソナルブースで冷えから身体を守る
周りの音や声、または自らが発する声や音などの影響を少なくするために設けられるパーテーションなどで囲われた半個室、パーソナルブースは主に集中して作業を行うとき、近年ではオンラインミーティングを行うときなどに使われることが多くなっています。しかし、こちらは空調からの冷気を直接的に受けないようにするためにも効果的です。
集中を妨げる要因は、周囲のノイズだけではありません。空調からの冷気などもその対象です。しかしながら、社内に限られた席数しかない、社員数が多いなど条件はそれぞれの会社によって異なるので、使用上のルールの策定が必要となるでしょう。
寒い季節にはカフェスペースで暖かい飲み物を
冷え性の人には、寒い季節にホットドリンクで体を温めることも効果的。そんな暖かい飲み物を飲んで、気分転換できるような空有感を作ることも効果的です。カフェというとコーヒーやお茶をイメージしてしまうかもしれませんが、それらに含まれるカフェインには体温を下げる効果があるので、飲み物にも注意が必要です。ココアには血行を促進させる効果のある成分が含まれているそうです。
まとめ
厚着や涼しい格好など、社員の個人努力でなんとか凌いでもらっているオフィスの寒さ、暑さ対策ですが、会社側が努力できることも少なくありません。会社・社員双方が頼りきりにならず、それぞれの歩み寄ることが理想的ではありますが、従業員の働く環境を整えることで、生産性も上がり、健康維持にもつながるのであれば、十分に価値のある投資と見ることもできるのではないでしょうか。