デスクワークにおいて、座って働くことは一般に浸透した当たり前の行為です。一方、立ったままデスクワークを行ったり、会議をすることは、一部に取り入れて実施している企業もありますが、まだまだ市民権を得ているとは言えない状況だと思います。本頁では、どんな物事にも長所・短所があることは理解したうえで、あえて当たり前になっていることのデメリットと、まだ経験したことのない物事のメリットにフォーカスしてみたいと思います。
座りっぱなしで働くことが健康的のも良くないことを示す結果も
長時間のデスクワーク(ここでは座りっぱなしのことを指す)は健康にも影響します。オーストラリアで実施された研究によると、死亡リスクが高まるという結果となったそうです。そんな中、日本人は平均すると1日7時間座っているという調査結果もありました。これは世界一の数字なのだそうです。日本の平均寿命などを考えれば、前者と後者で矛盾もありますが、それは食生活などその他の要素も相まってのものかもしれませんし、座りっぱなしが身体に悪くないことの証明とは言えないと思います。
座り姿勢のデスクワークが及ぼす具体的な健康リスクリスク
長時間の座り姿勢は、血流に良くありません。足を動かさないことにより「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉が、血液を心臓に戻す働きをしなくなってしまうからです。それらによって様々な病気になる可能性が示されています。下肢静脈瘤のような比較的軽度なものやほかに代表的なところでは、肥満や糖尿病、がんなどのリスクが有名です。
※立っていてるとしても、動き回らずに立ちっぱなしの状態が長い場合もふくらはぎの筋肉が働きにくい
スタンディングデスクなどの立ち仕事で得られるメリットとは
血流改善
前述の血流の滞りは、立ち仕事、座り仕事の使い分けにより解消でき、それに伴って健康リスクが減少することを期待できます。
集中力向上
座っている姿勢のとき、身体は安定しています。この状態は何をするにおいても実施しやすい状態ではありますが、言い換えれば、なんでもできてしまう状態です。すなわち気が散りやすいとも言えます。つまり安定姿勢過ぎない状況は、集中しやすいとも考えられます。
眠気防止
多くの人は、安定した姿勢で眠りにつきます、余程の過労状態にでもない限り、立ったまま寝るということは困難です。すなわち眠気防止にも良いでしょう。
スペースの有効活用
多くの人は、立ち姿勢のときの方が、占有する面積が狭くなります。そのため、例えば大きめのスタンディングデスクがあれば、座って行う会議よりも占有するスペースは少なく済むのです。
会議の活発化と時間の効率化
例えば、ホワイトボードを使用しながら会議を行っている場合、スタンディングで実施しているなら、参加全員が簡単にホワイトボード前に移動して、自分のアイデアを共有できます。また、座っているときよりも長引けば疲労するので、無駄な時間は必然的に削られていくことが予想されます。
会議室不足の解消
打ち合わせ、相談事も程度や中身によっては個室で行う必要がない場合もあります。そうしたケースでスタンディングで済ませられるのであれば、会議室を使いたい同僚にとってありがたく、当人たちも会議室予約などの手間が省けるというものです。
立ちっぱなしによるデメリット
説明の必要もないと思いますが、立ちっぱなしで働くことはやはり疲れます。また、前述のように立っていたとしても、ずっと同じ場所に立ち止まっているばかりだと、血流は滞ってしまうので、それだけに偏ることも健康リスクがあることを理解しておく必要はありそうです。結局のところ、座ることも必要になります。バランスを考えながら、働けると業務効率的にも、健康的にも良さそうです。
座って仕事をするときの椅子にも適切なものを選ぶ方がいい
座り姿勢のデスクワークが悪というわけではありませんし、働きやすいオフィスチェアもありますから、そういうものを選んで配置することで、社員の働きやすさや健康状態にも影響があるでしょう。人それぞれ骨格や身長、足の長さは違いますから、各自が自分のPC環境に合わせて調節がしやすいオフィスチェアを使ってもらうことも大切です。
まとめ
病気など大きなリスクはもちろんのこと、業務効率や省スペースなど、さまざまな面でメリットを享受できそうなスタンディンデスク。しかし、一方的に座って仕事をすることが「悪」、立って仕事をするのが「善」というわけではありません。大切なのはバランスです。そうした利点がスタンディングワークにあるとわかって導入したとしても、利用されなければ意味はありません。そうならないためにも導入するにあたってのゾーニングやレイアウトは大切になってきます。