クリニックを設計する際、患者さまが「土足で過ごすのか」「スリッパに履き替えるのか」という足元のスタイルは、清潔感や安心感に大きな影響を与えます。
普段は意識されにくい部分ですが、空間の雰囲気づくりに直結する大切な要素です。本稿では、株式会社SPACE PRODUCEが、その違いと工夫のポイントについて解説します。
土足利用がもたらす印象
土足のまま入れるクリニックは、都市部や商業施設内でよく見られます。靴を脱ぐ必要がないため、来院までの流れがスムーズで、患者さまにとって気軽に立ち寄れる雰囲気につながります。外の空気感をそのまま残せるため、堅苦しさを与えにくいのも特徴です。
一方で、床が濡れたり汚れやすい点には注意が必要です。特に明るい色調の床材を採用する場合は、メンテナンスの頻度や清掃体制を整えておくことで、常に清潔な印象を保つことができます。
スリッパ利用がもたらす安心感
スリッパに履き替える方式は、日本のクリニックで長く親しまれてきました。靴を脱ぐという行為そのものが、空間の清潔さを患者さまに直感的に伝えます。足元を揃える動作が整った印象を生み出し、落ち着いた雰囲気をつくり出す効果もあります。
ただし、共用スリッパに抵抗を感じる方も少なくありません。その場合は、使い捨てタイプを取り入れたり、紫外線除菌機を見える場所に設置することで、安心感を高めることができます。また、履き心地やデザイン性の高いスリッパを採用すれば、上質さを感じてもらえる空間演出にもつながります。
デザイン面での工夫
足元のスタイルを選ぶ際には、次のような点を意識すると、清潔感と快適さを両立しやすくなります。
● 床材の選び方
土足なら耐久性や防滑性を重視し、汚れが目立ちにくい色を選ぶことが大切です。スリッパを前提とする場合は、素足で触れても不快感のない素材や、柔らかさのある床材が好まれます。
● 清掃のしやすさ
清掃用具をすぐに取り出せる収納を用意したり、日常清掃が効率的に行えるレイアウトを検討しておくと安心です。
● 衛生管理を見える形に
除菌機器や消毒の仕組みをあえて見える位置に置くことで、患者さまに「管理されている」という安心感を与えることができます。
選択の目安
土足とスリッパ、どちらが適しているかは、クリニックの立地や患者層によって変わります。
● ビジネス街や商業施設内 → 土足スタイルで利便性を重視
● 美容目的で訪れる患者さまが多い → スリッパ方式で清潔さと丁寧さを強調
それぞれに良さと課題があるため、どのような印象を与えたいかを明確にしたうえで選ぶことが望ましいでしょう。
最後に
足元のスタイルは、見た目の美しさだけでなく、患者さまが安心して過ごせる空間づくりに直結します。土足で利便性を高めるか、スリッパで清潔さと丁寧さを印象づけるか。その選択が、クリニックの雰囲気を決める大切な要素となります。
ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを行い、設計や内装を超えて、クリニック運営に携わる皆さまにより価値ある空間デザインをご提案いたします。