開業時に物件を選ぶ際、立地や条件を優先して面積がコンパクトな物件を選ぶケースは少なくありません。限られた空間の中でも、レイアウトやデザインを工夫することで、機能性と高級感を両立させることは可能です。本記事では、これまで多くのクリニック設計に携わってきた経験から、空間を最大限に活かす方法を株式会社SPACE PRODUCE 小林佐理が解説します。
なぜ小規模物件でも高級感を出すべきか
限られた面積の物件では「狭い=安っぽい」という印象を持たれがちです。しかし患者様が最も重視するのは、広さそのものではなく「居心地のよさ」と「安心感」です。上質に見える空間は信頼感につながり、結果的にリピートや紹介へと発展します。だからこそ、小規模物件ほどレイアウトとデザインの工夫がポイントになります。
機能性を損なわないレイアウトの工夫
私が設計の現場で大切にしているのは、動線の整理です。無駄な移動を減らすことで、限られた空間でもゆとりが生まれます。
● 受付と待合を一体で計画
カウンターや家具を壁際にまとめ、中央を広く空けると圧迫感がなくなります。
● バックヤードの動線を短縮
医療スタッフの皆さまが効率よく動けるようにすることで、患者様から見える空間にも余裕が生まれます。
● 収納を壁面に集約
見せない収納を徹底すれば、空間がすっきりと整理され、広さ以上の快適さを演出できます。
高級感を演出するデザインポイント
高級感とは必ずしも高額な素材を使うことではありません。適切な色使いや照明計画で十分に実現可能です。
● 素材の選び方
木目調や石目調の化粧材を部分的に用いるだけで、空間全体に落ち着きが生まれます。
● 照明設計
ダウンライトだけに頼らず、間接照明やスポットライトを加えると立体感が出て、広がりを感じさせます。
● カラー計画
ホワイトやベージュを基調に、アクセントとしてグレーやダークブラウンを組み合わせると、落ち着きの中に上質さが際立ちます。
限られた面積を広く見せる工夫
小規模物件のデザインでよく取り入れるテクニックをご紹介します。
● 視線の抜けを確保
入口から奥まで見通せるラインを設けると、実際より広く感じられます。
● 家具サイズを調整
大きな家具を置くのではなく、空間に合ったスリムな什器を選ぶことが重要です。
● ミラーの活用
鏡を適度に配置することで奥行きを感じさせ、狭さを軽減できます。
最後に
小規模物件は制約が多いように見えますが、実は工夫の余地が大きく、個性を活かしたデザインが可能です。動線の整理と素材・照明の工夫で、限られた面積でも十分に機能性と高級感を両立させることができます。
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株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装にとどまらず、クリニック運営に関わる皆さまに向けて、より価値ある空間デザインをご提供いたします。