「どこに座るか」は、働く方が無意識に発するサインです。誰もが自由に席を選べる環境の中で、なぜ端の席が埋まり、真ん中が空いてしまうのでしょうか。そこには、好みでは説明できない、組織の空気や心理的な壁が潜んでいます。本記事では、埼玉・千葉など郊外に拠点を構える企業の皆さまに向けて、席の選ばれ方から見える職場の課題と改善するための空間設計のヒントを株式会社SPACE PRODUCEが解説します。
最初に選ばれるのは、なぜか“端の席”
多くのオフィスで見られる現象ですが、自由席を導入すると多くの方が「端」や「壁側」に座りたがります。これは偶然ではありません。人は自分の背後が守られていると安心を感じ、心理的に落ち着くと言われています。つまり、選ばれる席には「安心感」や「他者との距離を保ちたい」という無意識の感情が働いているのです。
こうした傾向が続くと、中央の席が“人気のない場所”として認識され、結果としてオフィス内に「空間のムラ」が生まれます。特定の人だけが固まって座ることで、部門間の分断やコミュニケーションの偏りを生むきっかけにもなりかねません。
レイアウトが“沈黙のメッセージ”になっていないか
働く方がどこに座るかを選ぶとき、意識せずとも「この席は落ち着かない」「ここは目立ちすぎる」と感じていることがあります。これは、席の配置そのものが、視線や動線のストレスを無言で伝えているサインです。
例えば、出入り口近くの席が頻繁に空く場合、それは「落ち着かないから避けたい」と思われている可能性があります。静かに集中したい作業スペースに、頻繁な通行があるようでは、どうしてもパフォーマンスが下がってしまいます。レイアウトが職場の“雰囲気”や“居心地”を左右していることを、設計段階から見落としていけません。
エンゲージメントを高める「居場所設計」の考え方
働く方にとって、自分の「居場所」があるかどうかは、仕事への意欲や安心感に直結します。席の位置や種類が多様で、目的や気分に応じて選べると、「自分で選べた」という感覚が生まれ、自律性と満足度が高まります。
たとえば、集中したいときの個別ブース、軽い打ち合わせができるソファスペース、開放感のある窓際のカウンター席。これらをバランス良く配置することで、自然と人の流れが生まれ、コミュニケーションのきっかけにもつながっていきます。逆に、全員に同じ席・同じ向きを強いるレイアウトでは、多様な働き方への対応が難しくなります。
変化を嫌うのは、働く方ではない
レイアウトを変えることに不安を覚えるのは、必ずしも働く方ではありません。むしろ、長く同じレイアウトで過ごしてきた管理側が「変える理由がわからない」「今のままでも問題ない」と感じているケースが多いのです。
しかし、実際に席の使われ方を観察すると、“使われていない空間”が可視化され、改善の余地がはっきりと見えてきます。レイアウトの見直しは、目に見えない課題を見える形に変え、経営的にも効果の高い投資となる可能性を秘めています。
最後に
「席選び」は、職場の空気や関係性を映す鏡です。働く方の何気ない行動の背景にある心理を汲み取ることで、レイアウトが持つ力を最大限に引き出すことができます。
今、オフィスでは、どんな席が選ばれているでしょうか?
―その答えが、次に考えるべき課題のヒントになるかもしれません。
株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装作業にとどまらず、経営者、従業員の皆さまにとって、より良いオフィス空間をご提供いたします。
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