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クリエイティブオフィスに必要な「アイデアを生まれる空間」

#オフィスレイアウト

クリエイティブオフィスは、「組織の創造性を最大限に発揮できる」空間でなければなりません。そのためには、個人が集中して働くことができる空間と同時に、人と人が交流する中で新たなアイデアが生まれるようなコミュニケーションを図れるスペースが必要になります。ここで後者の「コミュニケーション」を取りながら働ける空間のメリットなどについて見ていきます。オフィスにどのような空間があれば、そうしたコミュニケーションが起こりやすいのか、例とともに説明していきましょう。


イノベーションにつながる「セレンディピティ」という考え方


「テレワークになってから、新しいアイデアが生まれにくくなった」
「在宅勤務で、アイデアが煮詰まって困っている」

コロナ禍でのリモートワークの普及により、顕著になってきたのがコミュニケーションの不足ではないでしょうか?一部の天才的な才能の持ち主ならば、人とコミュニケーションを図らずとも、様々なアイデアが降りてきて、実行に移すことが可能かもしれません。しかし、多くの天才ではない会社員にとって、様々なアイデアの根元は、他者との交流や偶然の出来事であったりします。

こうした悩みは、偶発的な出会い、交流、コラボレーションの機会があること、何かを探しているときに探しているものと別の価値があるものを偶然みつけることによって解決できるかもしれません(セレンディピティ)。

■セレンディピティの例「Twitter」
いまではSNSの筆頭格の1つとなっているTwitter社(当時の社名はオブビアウス)のTwitterは、社員が遊びで作ったメッセージ交換ツールだったそうです。それが社内で人気を博し、上層部にも知られ、製品として世にリリースされると、やがては社名にもなる一大サービスとなりました。コミュニケーションによって、イノベーションが起きたということ。そこにはきっと「あ、これ良いね」「これはハマるわ」というような、最初の気づきがあったのではないでしょうか。

偶発的なコミュニケーションを起こすマグネットスペース


マグネットスペースとは、オフィスの中で、部署や役職、年齢など関係なしに人が集まる空間。磁力があるかのように人を、引きつける場所のことです。例えば、複合機やウォーターサーバーの近くなどには自然と人が寄ってくるはずです。そういう場所で、「お疲れさまです」の一言のみのコミュニケーションで終わってしまうのはもったいない。

周辺に立ち話を始めるきっかけになりそうな、高さのあるテーブル、休憩がてらに腰かけられそうなベンチなどがあると、挨拶以上の会話の入り口となります。大切なのは、従業員たちがそうした共用スペースに向かう動線上かつその場所の近くに、マグネットスペースをレイアウトすることです。

従業員間のつながりを強めるカフェスペースやフリースペース


会社員が自席に縛られず、自由に、落ち着ける空間で働ける方が、アイデアや創造力が掻き立てられるという考え方を基に、カフェスペースやフリースペースをオフィスに設ける企業が増えています。街中のおしゃれなカフェで、パソコンを広げて作業している人たちの存在こそ、その象徴かもしれません。オフィス内にも木目調の内装であったり、家具などで統一し、社員が普段働いているデスク環境とは異なる空間を作ると良いでしょう。

実際のカフェとの違いは、街中のカフェであれば、そこにいる人たちは全くの他人ですが、社内のカフェスペースにいる人たちは同じ会社の人間。共通のビジョンを基本とした「視点の違う意見」を貰えるでしょう。また、自然発生的に起こるカジュアルなミーティングの場としてもカフェスペースは使えるため、そうした簡易な打ち合わせが起こりやすくなれば、わざわざ空いている時間を見計らってミーティングルームを予約して、数日後に話し合うようなタイムラグが生まれず、スピーディーに仕事が進むことも期待できます。

リラックスや安心感は、組織、チームとして働く中で、コミュニケーションを円滑にする大切な要素です。社員は一人ひとりが異なる考え方、性格であり、中には自分の意見を伝えるのが苦手、つい我慢してしまうというタイプの人も少なくありません。そうした人が、安心して自分の意見を語り、聞き入れてもらえるような“環境”も必要。それは受け入れ側の人的要素ももちろんですが、カフェスペースなどのように文字通り安心感を得られるような空間も大切になってきます。

オフィス家具の充実で偶然のアイデアを可視化できるように


マグネットスペースやカフェスペース、誰も自由に使えるフリースペースなど、セレンディピティが起こりうる場所には、その偶然性を生かせるようなオフィス家具も必要。ちょっとした雑談がからのヒラメキを説明しやすいようなホワイトボード、急なアイデアを共有するためにPCなどと接続するモニター、会社側から社員に共有すべき情報などを伝えるサイネージや掲示板などは、社員個々人の生産性を向上させる手助けとなるはずです。

まとめ


コロナ禍になってオフィスの役割は変わってきていて、かつての「行かなければいけない場所」から「選択として選べる働き場所」という要素が強くなってきました。その中で選ぶ理由として「セレンディピティ」というきっかけの提供も、オフィスが果たすべき役割の1つです。オフィスの重要性が曖昧になってきているからこそ、求心力を持ったオフィスを構えることに意味があります。それがたちまちモチベーションや生産性の向上につながり、業績、ブランディングも向上、採用力強化など、様々な好循環につながります。