メンズ美容市場に選ばれる“ユニセックス空間”のつくり方

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メンズ美容市場に選ばれる“ユニセックス空間”のつくり方

いま、美容医療の現場では「男性患者の増加」という静かな変化が起きています。
これまで女性を中心に設計されてきた空間が、性別を問わず利用される時代へと移行しつつあります。
この記事では、男女双方が心地よく過ごせる“ユニセックスなクリニック空間”を実現するための色彩・素材・動線設計のポイントを、株式会社SPACE PRODUCEの小林佐理が解説します。


なぜ「ユニセックスデザイン」が必要なのか

まず前提として、メンズ美容の市場はここ数年で急速に拡大しています。
特に20〜40代男性を中心に、脱毛・肌治療・美容点滴などへのニーズが高まり、男女比が半々に近づくクリニックも増えています。

しかし、多くの内装が「女性向け」を前提に作られているため、男性は入りにくさを感じやすい傾向があります。
たとえば、パステルカラーや装飾の多いインテリアは、清潔感がある一方で「自分には場違い」と感じさせてしまうこともあります。

つまり、今後のクリニック経営では“どちらかに寄せる”ではなく、“誰もが自然に受け入れられる空間”を設計することが求められています。


色彩設計「温度」を感じさせない中間色が鍵

ユニセックスな空間づくりでは、色の選定が印象を左右します。
おすすめは、ベージュ・グレージュ・オリーブグレー・チャコールといった「中間色(ニュートラルカラー)」です。

これらの色は、男性にとって落ち着きがあり、女性にとってもスタイリッシュで清潔感を感じさせます。
加えて、照明を白昼色と電球色の中間トーン(約3500K前後)に設定することで、どちらの性別にも心理的な快適さを与えます。

光と色の“温度差”を減らすことで、受付やカウンセリングルームでの緊張感が自然と和らぎます。


素材選び──質感で安心感と信頼感を生む

ユニセックス空間では、素材の「触感」も重要です。
男性は無意識のうちに“堅実さ”や“信頼感”を求め、女性は“清潔感”や“柔らかさ”を重視します。

その両方を満たすために、

  • カウンターや壁面にはマット仕上げの石調素材
  • 床材には木目の浅い突板やフロアタイル
  • ソファにはスウェード調やファブリックレザー

を組み合わせると効果的です。
「光沢のない上質感」が、男女どちらの感性にも自然に受け入れられ、ラグジュアリーすぎない安心感を演出します。


動線設計“すれ違い”をデザインする

男女が同じ空間を利用する場合、動線設計が心理的な快適さを左右します。
たとえば、

  • 待合スペースを半個室型に分ける
  • 動線上で視線が交わらないよう通路をL字型に設計する
  • カウンセリングルームを目的別にゾーニング(医療・美容・プライベート)する

といった工夫で、「他者の存在を意識しすぎない安心感」をつくることができます。

特に男性患者にとっては、初回カウンセリング時に女性患者と同じ動線を共有することが心理的ハードルになるケースもあります。
“見られない配慮”が、再来率を高める設計ポイントです。


空間体験で“ブランドの中立性”をつくる

ユニセックスなデザインの目的は「性別をなくすこと」ではなく、「どちらも自然でいられる状態をつくること」です。
そのためには、受付・照明・サイン・香り・音楽といった五感すべてを“中立的なトーン”で統一することが大切です。

たとえば、香りはフローラルよりもシトラスウッド系を、BGMはボーカルレスのピアノやアンビエント系を選ぶと良いでしょう。
空間の中で、誰もが“自分のための場所”と感じられる演出が、ブランドの信頼感へとつながります。


最後に

美容医療の新しい時代は、「男女の区別」ではなく「多様な価値観に寄り添う空間」から生まれます。
男性が自然に足を運び、女性も心地よく過ごせるクリニック──その設計には、経験に基づく色彩・素材・動線の“バランス設計力”が欠かせません。

ぜひお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。
株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装にとどまらず、クリニック運営に関わる皆さまに向けて、より価値ある空間デザインをご提供いたします。