地方クリニックが“都市部トレンド”を取り込むための空間設計戦略

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都市部の美容医療クリニックでは、SNS映えするデザインや、短時間施術を前提とした動線設計など、トレンドを押さえた空間づくりが進化しています。

しかし、地方で同様のデザインを再現しようとすると、コスト面や物件条件の違いが壁になることも少なくありません。
では、限られた条件の中でどのように“都市型の魅力”を地方に取り込めるのか。
本記事では、株式会社SPACE PRODUCEの小林佐理が、地方開業を成功に導くための現実的なデザイン戦略を解説します。


1. 地方クリニックに求められる「都市型デザイン」の再定義

まず前提として、「都市型デザイン」を“見た目の派手さ”と誤解しないことが大切です。
都市部のクリニックが人気を集めている背景には、利用者の行動心理を踏まえた空間構成があります。
たとえば、限られた時間で施術を受けたいビジネス層や、SNSを通じて情報収集を行う若年層など、都市の生活リズムに合わせた合理的な設計がされています。
これを地方で活かすには、単に“流行を真似る”のではなく、地域の患者様層の行動パターンに合わせて要素を再構築することがポイントになります。


2. SNS映えを“過剰演出”にしないための空間演出法

SNS映えするデザインは確かに集客効果がありますが、過度な装飾や派手なカラーリングは、信頼よりも違和感を与えてしまうこともあります。
地方では、通い続ける患者様が多い傾向にあるため、長く愛される落ち着いたトーン設計が重要です。 例えば、トレンドカラーを壁面ではなくアクセント家具や照明の演出に取り入れるだけでも、都市的な印象を演出できます。
また、自然光を生かした明るい撮影スポットを設けることで、SNSで共有しやすい“リアルな映え空間”が実現します。


3. 「短時間施術」を支えるコンパクトな動線設計

都市部のクリニックで注目される「短時間施術対応」の設計は、地方でも効率経営に直結します。
受付から施術室、パウダールームまでを最短距離で移動できる動線設計にすることで、医療スタッフの動きも無駄なくなり、患者様のストレスも軽減されます。
特に、自由診療と保険診療を併設するハイブリッド型クリニックでは、ゾーニング(空間の区分け)を工夫し、動線が交わらない配置が理想です。
これにより、少人数の医療スタッフでも高回転率を維持できる運営体制が整います。


4. コストを抑えつつ高級感を演出する素材選びと照明設計

「高級感」は必ずしも高価な素材でしか表現できないわけではありません。
照明の色温度を暖色系に設定し、壁や床にマット質感の素材を選ぶだけで、柔らかく上質な印象を与えることができます。

また、造作家具を一からつくるのではなく、既製品にカスタムを加えることでコストを抑えつつオリジナリティを確保する方法もあります。この“セミオーダー設計”は、限られた予算でも都市型デザインの雰囲気を再現できる、地方クリニックに最適な手法です。


5. 地域患者様との信頼を育てる「距離感の近い空間づくり」

地方のクリニックでは、患者様との“関係性の近さ”が信頼を生みます。
そのためには、受付カウンターの高さをやや低く設計したり、プライベート感を保ちながら会話しやすい配置を心がけることが重要です。
また、医療スタッフの皆さまがリラックスできるバックヤード環境も、接客品質を支える重要な要素です。
内装は見た目だけでなく、働く人の心理的余白を生み出す“運営のデザイン”でもあるのです。


最後に

都市部で培われたデザイン手法は、地方でも十分に応用できます。
ただし、そのままコピーするのではなく、「地域の価値観や生活動線に溶け込むか」を丁寧に検証することが、成功のポイントです。

ぜひお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装にとどまらず、
クリニック運営に関わる皆さまに向けて、より価値ある空間デザインをご提供いたします。