オフィスは社員が働くだけの場所ではありません。お客様や協力会社など、様々な人たちが出入りする場所です。ビジネスマナーとして、来客にはおもてなしが必要であり、空間としてそこを考え抜かれたオフィスは、利便性が高いことは請け合いです。つまり、そんなオフィスであれば、従業員にとっても使い勝手の悪いオフィスになるはずはないという論法です。では、詳しく説明していきます。
来客に好印象のオフィスが、従業員にとって働きやすいワケ
当たり前ですが、来客も社員もオフィスに行かなければ、好印象を持つことも、働きやすいと思うこともできません。それならば同じ「おもてなし」がなされたオフィスに通って、社員が不満になることはなさそうだということは想像に難しくないと思います。
来客が好印象を持つと一言でいっても、その要素は様々ですが、その一つひとつが社員にとってもメリットとなるケースが多いということを以下に細かくフォーカスしていきたいと思います。
理由1・来客に好まれるオフィスはアクセスなどに優れた立地にある
日本には四季があります。唸るような酷暑、凍てつく寒さが辛い真冬、梅雨のゲリラ豪雨など、外に出る機会にそれらと接する機会が多くなる訳です。それがたとえば「駅ビル直結」や「駅から徒歩1分」のような立地にあれば、来客はそれらの季節的な不都合にさらされる機会を少なく済ませることができます。
打ち合わせや商談終わりに、同じビルないし駅周辺の飲食店でランチをして帰るようなシーンに便利な環境であればなお良いでしょうし、電車やバスの乗り合わせが便利だとしたら、次の予定などの都合もつけやすいというのもメリットです。ここに挙げたすべてのメリットは、言わずもがな、社員の通勤や休憩、移動にも同じことが言えます。
また、ブランディングという意味でも立地は大切です。業種や業界などで、たとえば「IT系だったら○○○」というような、その界隈で認められた企業などが集まる立地にオフィスを構えられているとしたら、来客としては信頼感につながるでしょうし、社員としては、そこで働くことを誇らしく思えるようになるでしょう。
理由2・コーポレートアイデンティティ(CI)を落とし込んだオフィスは商談をしやすい
CI(企業文化)やコーポレートカラー、サービスや商品などのイメージを落とし込んだエントランスや応接室などの来客を迎え入れる空間が、その会社が何者であるかを表します。何らかの商品やサービスを受注したいという中で、そうしたブランディングがオフィスデザインからもわかるようなら、来客としても品質やこだわりなどが想像しやすくなるはずです。
特にエントランスは来客にとって、最初のタッチポイントとなります。そこにミッション・バリュー・ビジョンなどのメッセージを直接ビジュアル化したり、これまでのサービス・商品を展示してみたりと、自社を知ってもらう場とできます。
そうしたイメージを持ってもらえるなら、そこで働く営業などの社員も話の入り口を見つけやすく、話自体にも信憑性を持たせやすくなると思います。また、社員自身が自社の理解を深める機会ともなります。来客には、あえてオフィスを見てもらうぐらいの心の余裕を見せると、その自信がプラスに働くこともあるかもしれません。
理由3・セキュリティ意識の高いオフィスはお客様も働く社員も安心できる
オフィスは社内外の人間が出入りする機械のある空間です。機密情報など絶対に外部に漏れてはいけない情報も扱うことがあるため、その管理意識は来客も気になるところです。エントランスは人員の入退室を管理・制限できるものになっているかなどは基本として、ゾーニングなども大切な要素です。
大雑把に分けるとしても、来客などの社外の人間が踏み入ることができるエリア(エントランス・会議室など)、社員なら誰でも立ち入ることができるエリア(執務室・会議室・休憩室など)、限られた人間または許可を得ないと立ち入ることができないエリア(サーバールーム・社長室など)
例えば、エントランスのすぐ横にサーバールームがあるようなレイアウトだとしたら、情報管理という意味では大きな欠陥があるオフィスと言わざるを得ません。そうした事態を避けるためにもゾーニングの段階でこの両者は遠くに離す必要があります。最低限こうした配慮ができている会社とこそ来客は発注・協力などの関係性を結びたいと思うはずです。
社員一人ひとりは当然、情報管理の徹底に心がけなければなりませんが、環境として情報漏洩をしてしまいにくい環境が整っていればこそ、管理することに神経質になりすぎることなく働けるというもの。社員のリソースは限られているわけですから、可能な限り業務に向き合える環境を整えてあげることが、働きやすさにつながっていきます。
まとめ
ここまでに挙げた通り、来客をもてなすことができるオフィスは、社員が働きやすい、またはパフォーマンスを上げやすいオフィスになる条件が揃っていることをわかってもらえたのではないでしょうか。しかし、好立地に求める広さの空室を探すことも、ブランディングやセキュリティを意識した設計、ゾーニングを行うことは素人には難しいことです。ぜひ、オフィスデザインのプロの活用を検討してみてください。