意図的な「デコボコ動線」

#オフィスレイアウト

オフィスのレイアウトは、働く方の創造性やモチベーションに大きな影響を与えます。直線的で効率を重視した動線も悪くありませんが、あえて「少し遠回り」や「交差」を設けることで、偶然の出会いや会話が生まれ、思いがけないアイデアが生まれることがあります。今回は、経営者の皆さまや人事・総務ご担当の方々に向けて、「意図的なデコボコ動線」を取り入れたオフィス設計のポイントを株式会社SPACE PRODUCEが解説します。
 

1.なぜ今「デコボコ動線」なのか?

結論からお伝えしますと、働く方同士の偶然の交流や情報共有を促すためには、意図的にスムーズでない動線を設けることが効果的です。効率一辺倒の動線では、目的以外の人や場面と関わる機会が減り、社内の会話やアイデアが固定化しやすくなります。
実際、社内のコミュニケーション不足が組織の停滞につながるケースは少なくありません。リモートワークの普及によって、対面での接点が減った今だからこそ、オフィス内では「偶然」の仕掛けを用意する必要があるのです。たとえばコピー機をオフィスの中央に置き、あえて部署をまたいだ導線上に配置することで、普段話す機会のない働く方同士の交流が自然に生まれます。
 

2.具体的にどのような工夫ができるのか


では、実際に「デコボコ動線」を作るにはどのような工夫が考えられるのでしょうか。ポイントは、「わずかな不便さ」と「偶然の交差」です。
例えば以下のようなアイデアが挙げられます。

● メイン通路を一直線にせず、少し曲げたり角を設けたりする
● 行き止まりのように見える場所に共有スペースを設ける
● 必要な設備や備品を1カ所に集めず、少しずつ異なる場所に分散する

こうした仕掛けにより、働く方が移動の途中で自然に立ち止まる、あるいは顔を合わせる場面が生まれます。重要なのは、「使いづらさ」を感じさせない程度の工夫にとどめることです。ストレスにつながるような動線ではなく、「ちょっと面白い」「なぜか話しかけやすい」そんな感覚を意識するとよいでしょう。
 

3.設計の際に気を付けるべきポイント

意図的なデコボコ動線を設計する際には、働く方の負担やストレスにならないよう、いくつかのポイントに注意が必要です。第一に、バリアフリーや安全性への配慮です。どんなに偶然の出会いを促す動線であっても、段差や視界の悪さが安全性を損なってはいけません。
また、部署間の機密性が求められる業務がある場合には、通路の交差が逆効果になることもあります。どこで偶然を促し、どこで意図的に遮断するか、その「線引き」を設計段階で明確にすることが大切です。さらに、内装や家具の配置も動線設計と一体で考える必要があります。せっかくの動線を塞いでしまうレイアウトでは、本来の意図が失われてしまうためです。
 

4.導入後の効果を高めるために

最後に、意図的なデコボコ動線をオフィスに導入した後は、定期的に働く方の声を聞き、必要に応じて改善していくことが重要です。最初の設計がベストとは限りません。実際に働く方が使う中で「もう少し広くしてほしい」「ここにベンチが欲しい」といった意見が出ることもあります。
その声に耳を傾けることが、働く方の満足度を高め、動線の効果を最大化する鍵になります。デザインは「作って終わり」ではありません。実際の利用を通じて進化していくものです。
 

最後に

オフィスは単なる作業の場ではなく、働く方の創造性やつながりを育む場所です。意図的なデコボコ動線は、その土台となる「偶然」をデザインするための手法の一つと言えます。
「でも、うちのオフィスではどんな動線が良いのだろう?」そんな疑問が浮かんだ方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装作業にとどまらず、経営者の皆さま、従業員の皆さまにとって、より良いオフィス空間をご提供いたします。