オフィスデザインでインナーブランディングを実現する

#オフィスレイアウト

企業にはさまざまな価値観や環境で育ってきた社員が務めています。そんな社員たちの集合体として成り立っているのが会社が、同じ方向を見て日々の業務を行っていくには、ビジョンやミッション、理念などが共有、つまりインナーブランディングが必要です。そこでインナーブランディングをオフィスに落とし込むアイデアを紹介していきます。

インナーブランディングとは



インナーブランディングは、自社の社員に対して、企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)を共有するためのあらゆる活動のことです。「インナー」と付いているのは、社内という内向きに行うブランディングだからです。なぜ、そのようなことが必要になっていくるのかというと、たとえば創業したばかりの会社であれば、多くの場合は人数も少なく、やる気に満ち、同じ志を持った人間同士が働いていることが多いと思います。

しかし、会社が成長していくにつれて、冒頭に述べたようにさまざまな考え方、志、キャリア、将来プランを持った人たちが社員として参画してきます。そうなったときに、個々の自由を認めつつも、目指す方向性やスピード感などは理解してもらわないとミスマッチとなり、やがては喧嘩別れ(離職など)となってしまうと誰も得がありません。だからこそ、企業のカルチャー、価値観の指針づくりとしてもインナーブランディングが求められているのです。

インナーブランディングのもたらす効果


社内コミュニケーションを効率化


会社にはさまざまな人間が集まりますから、仕事への考え方、やりたい業務なども十人十色です。そこで皆が好き放題に自分の意見を言い合うだけでは、まとまるものもまとまりません。そうしたときに、共通認識としてビジョン、ミッション、バリューに立ち返ることができるのであれば、文字通り「理」に適った対話の基に、事業を進められるはずです。

離職率の低下や採用ミスマッチの回避


社員の仕事へのやりがいや誇りが増せば、そう簡単に辞めたいとは思わなくなるはずです。また、採用時にもこれらをインナーブランディングができていれば、「思っていた会社と違う」「こんなはずではなかった」というようなミスマッチを生じさせずに済む可能性が高まることを期待できます。

結果的に対外的なブランディングにもなる


社員の目線、価値基準などが統制されていれば、総じて会社が提供するサービス・商品の品質の向上につながります。その結果、社外的な会社のブランドが自然と形成されていくはずです。

ビジュアルアイデンティティ(VI)をオフィスに落とし込む



ビジュアルアイデンティティ(VI)とは、わかりやすく言うと企業ロゴやシンボル、コーポレートカラーなどです。それには理念やビジョンなどを視覚化して作られているものが多いので、そうしたものを内装のデザインや色彩として取り入れることは、社員に対する会社からのメッセージとも言えるでしょう。

エントランスにロゴはもちろんのこと、理念やコーポレートカラーなどを配することなどは当然として、ほかにもワークスペースの細部などにもコーポレートカラーを取り入れたりすると良いでしょう。また、企業文化の共有がしやすいのが、これまでの変遷などを示すことです。会社としてこれまで歩んできたストーリーを見せられるような展示空間などを設けることで、よりインナーブランディングが浸透することでしょう。

ほかにも、会社からの推薦図書などを並べるようなライブラリーを設けるのも1つの手段です。純粋に、社員の成長につながると言うメリットの他に、著名な経営者、経済学者などの書籍、そのタイトルからもどのような考え方を大事にしているのか、理解してもらえます。


インナーブランディングを実施する上での注意点



インナーブランディングには長期的な視野に立った計画性が必要です。企業理念などが社内に展開されたとしても、翌日からそれに則って社員がすぐに行動に移れるかと言われれば、なかなか難しいところがあると思います。それらの言葉が浸透するまでには、一定の時間や場合によっては研修のような機会も必要かもしれません。また、インナーブランディングで共有した目線には、ある程度「ゆるさ」も必要でしょう。それに厳格にしすぎると、個性は奪われ、自由な発想は生まれにくくなる可能性もあります。あくまで「さまざまな考え方がある中で、方向だけは同じところを見ている」と言う状況を作るために必要なものと捉えるべきです。

まとめ


近年ビジョン、ミッション、バリューを掲げ、自社サイトに掲示するような企業も増えていますが、中にはそうした企業理念に類するようなものを知らない社員がいるような会社もあったりします。オフィスのリニューアルや移転でオフィスデザインに落とし込む云々の前に、自社事業を好転させるためにも、社内周知、ないしは策定を測ってみてはいかがでしょうか。そしてオフィスを新しくする際には、デザインに取り入れ、社員に会社への帰属意識を持ってもらえるようなオフィスを目指すことも検討してみてください。