人間が高くジャンプするためには、一度深くしゃがみ込む必要があります。休憩室でリフレッシュするメリットは、言ってみれば一度深くしゃがみ込むことと似ているのかもしれません。何か種類の異なる業務の切り替えなどの際には、同じテンションで簡単に移り変われるなら良いですが、気持ち的なしゃがみ込みが必要だったりする人も少なくありません。ここでは具体的にどんなメリットとデメリットがあるかなどについて説明していきます。
敢えて休憩室(リフレッシュルーム)を設けるべき理由とは
本来なら、省スペースの観点からも、休憩室(リフレッシュルーム)を設けないで済むならそれに越したことはないのかもしれませんが、特に日本という社会にとっては、休憩室があった方が良い場合があるのです。本来なら、休憩室を設けず、各自が自席で折を見て休憩してくれれば良いのですが、「周りが働いているから」休憩やリフレッシュがしづらいという人が少なくありません。
だからこそ、この周囲の目や同調圧力というものを気にせずに済む空間を設けてあげることが必要なのです。いわば「休憩していいですよ」という会社からのメッセージとして、休憩室を設けるような感覚です。外国や外国人の多い会社であれば、もしかすると必要ないのかもしれませんが、「敢えて」作る目的はそこにあります。
休憩室のメリット
リフレッシュのため
個人差はあれど、人間の集中力には限度があります。長時間に及ぶ業務が必要であれば、集中力が落ちて効率的ではなくなるようならば、一度気持ちや身体のちょっとした疲れをリセットする意味でも休憩を取ってもらった方が良いでしょう。しばらく続けていた作業が終わって、別の作業に切り替えるタイミングなどにも、頭を切り替える意味でリフレッシュしたいという需要もあるはずです。
円滑な人間関係の構築にも寄与
ビジネスチャットツールを使って、オフィス内外の人間とタイムリーに、簡単に連絡を取り合えるようになりましたが、その中で相手の温度感がわからずに、かえって困ったという経験をしたことがある人も少なくないのでは? 上司や同僚とコミュニケーション不足を解消するために、時おり出社して会話をするそんな時に、休憩室が役立ちます。さまざまな人が集まるマグネットスペースの要素もあるため、部署を超えたコミュニケーションも可能となります。
新たな発想が生まれる
散歩中やお買い物の最中など、仕事以外の好きなことをしていたり、リラックスした状態のときに、ふとアイデアが思い浮かぶような体験をしたことはありませんか? そんな精神的な落ち着きを得られる場所としても休憩室は役立ちます。そもそも、執務スペースは、パソコン操作をせずに考えごとに集中していると、仕事していないように見えてしまう、と思ってなかなか考えごとすらしづらい空気があったりします。周囲の目が気になるようなら、移動して考えごとをしてみるのもありだと思います。
休憩室を作ることのデメリット
オフィスのスペースを使ってしまう
先述のとおり、そうした空間を執務スペースとは別に設けるわけですから、限られたスペースを余計に減らしてしまうことは避けられません。成長著しく、社員数が日々増加しているような会社であれば、なかなか取り入れることが難しいかもしれません。
社員が完全にオフモードに入ってしまう
居心地が良すぎて、社員が仕事に戻ってこなくなってしまうと本末転倒です。ルールでがんじがらめにする必要まではないと思いますが、運用上の約束事や呼びかけなど、業務効率を下げてしまわない方法を考えておくと良いでしょう。
清掃などの必要性
休憩するときに、お茶やコーヒーなどの一服を入れることも多いと思いますが、そうするとどうしてもゴミが発生します。ましてや、飲み物をこぼしてしまったりすると念入りに掃除しなければなりません。社員皆が快適に使えるようにするために工夫が必要になります。
休憩室を作るときに大切なポイント
先述の執務室での休憩の取りにくさとも関連しますが、視覚的に執務室と異なることを明確に示す必要があります。個室空間として、文字通り「休憩室」としても良いでしょう。そうでなくても、たとえば床材の素材や色、家具のテイストを全く別にするなど、大胆にチェンジして、ここから先は執務室とは「別の空間ですよ」とデザインで示すのも手です。
利用者が「私は今休憩室にいるから」、他者が「〇〇さんは今休憩室にいるから」と、同調性を求められないゾーンにいることを強調して見せる工夫が必要になります。
まとめ
オンラインだけでは図れないコミュニケーションもあるということを、この数年で実感として持った人が多いのではないかと思います。また、中には家だと逆に集中して働けないという人もいるでしょう。そうした悩みを抱える社員のためにも、オフィスは働きやすい環境であるべきで、彼らが能力を余すことなく発揮することができるように、敢えて休息を取ってもらうことも必要。そんな休憩室を、敢えて作ってみてはいかがでしょうか。