オフィス移転は一大イベントです。だからこそ、失敗はしたくないもの。そこでオフィス移転に関わる総務・人事などのポジションにいる人たちが事前に準備しておく必要があることや、実際に動くにあたっての確認事項などを解説します。
オフィス移転の目的を明確にし、事前に共有して理解を得る
オフィスを移転する場合、物理的に移動することになるので、プラスになるところもあれば、マイナスになってしまうこともあります。単に床面積を増床したいという目的だけだったとしても、それに伴って例えば駅からの距離が少し遠くなってしまったり、公共交通機関の利用や乗り換えが不便になったり、ということが考えられます。
あまりデメリットのない移転も考えられますが、何を第一に考え、それに伴い多少目をつぶる必要があることなどを明確にしておく必要があります。以下はオフィス移転を実施する会社が主にその計画上で大切にしたいと考えている代表的なところです。企業にはたくさん社員が勤めているので、残念ながら彼ら全員が満足できる移転は現実的ではありません。
・働き方改革などを意識した生産性・業務効率の向上
・今後ないし現在で従業員が増えたことによる床面積不足の解消
・採用強化・企業ブランディング
・コロナ禍など状況に合わせた働きやすい環境づくり
会社は移転の目的を明確にして、「こういうメリットがある代わりに、こんなデメリットがある」ということを社員に説明し、一定の理解を得る必要があります。
オフィス移転時に必要なこと
オフィス移転にはさまざまな工程が必要です。大まかなところで下記がありますが、物件を探すなら不動産会社、デザイン・レイアウトなどは設計会社、施工については建設会社などと相談・打ち合わせが必要になります。その前に、それらの会社を選ぶという工程もあるでしょう。
・移転スケジュールの作成
・物件探し
・移転先のビルとの工事についての協議・確認
・内装工事(設計・施工する会社の選定からデザインの相談 etc.)
・什器や備品の整理や追加
・引越し作業依頼
・移転前のオフィスの原状回復工事の依頼
旧オフィス関連で必要なことや新オフィスに関連して必要になることもチェックが必要です。
旧オフィス(現在入居中のオフィス)
入居中のビルの解約手続き
入居中のオフィスの解約手続きをどのように進めればよいのか、前もって確認しましょう。書面にて解約手続きを行う場合でも、事前にビル管理会社に電話ないし対面で伝えておくと手続きがスムーズかもしれません。
解約を申し出る時期
解約意識の伝達は、賃貸契約書に記載された日数以前に申し出る必要があります。早めに動きたいところですが、原状回復工事や新オフィスの準備が間に合わないと、オフィスなしの状態になってしまう恐れもあるため、ある程度の猶予を考慮して慎重に判断してください。
原状回復工事の実施者の確認
原状回復工事は、オーナーや管理会社が指定する提携業者に依頼する場合と、入居者が選んだ業者で行う場合の2パターンがあります。前もって話を聞いておくか、解約を申し出る時に管理会社に確認しておきましょう。
管理会社との原状回復工事の時期、内容、金額などの合意
原状回復工事は、多くの場合、引越し日から引き渡し日までの間に行ないます。担当する業者に工事の期間や具体的な工事内容、金額について見積もりを出してもらいましょう。もしかすると管理会社と原状回復工事の内容についての見解に齟齬がある場合もあるため、どこまで行うのかを話し合っておきましょう。
返還費用がある場合の時期と金額の確認
敷金が原状回復工事の費用を上回る場合や、変換される保証金などがある場合は、返金される時期と金額、返金方法なども確認しておきましょう。
新オフィス(移転先のオフィス)
新オフィスの契約
内装工事にも時間がかかります。その期間も念頭に置いて、余裕をもった契約を結びましょう。
オフィスレイアウトの決定
内装工事や引っ越しの際のレイアウト指示のために、新オフィスのレイアウト図を作成する必要があるでしょう。
要検討 オフィス移転を一括で請け負う会社もある
これまで、オフィス移転にかかるさまざまなコストについて説明してきましたが、中には内装の設計・施工はもちろん物件探しなど、一括で引き受けている会社もあります。そうしたサービスに依頼をするということも1つの手段です。オフィス移転にはここに挙げたような直接的に関与する項目もあれば、それ以外の例えば印刷物やオンライン上のデータ変更、お客様への連絡など、移転してからもたくさんの労力がかかります。そうした負担を考えるのであれば、一括で任せられる会社に依頼して、移転自体にかけるリソースを減らすということも検討の余地は大いにあると言えます。
まとめ
移転は簡単ではありません。せっかくの一大イベントですから失敗は避けたいところでしょう。全員から100点をもらうことは難しくても、及第点を多く得たり、赤点を出さない移転をすることが望ましいことは言うまでもありません。良い準備をして、移転に臨んでもらえればと思います。