閉塞感のない集中ブース設計

#従業員エンゲージメント

集中力を高めるために導入されたブースが、実は使われていない。そんな状況に心当たりはないでしょうか。原因は「閉じすぎ」による心理的圧迫かもしれません。集中と快適さを両立させるには、設計そのものの見直しが必要です。本記事では、働く方が自然と使いたくなる集中ブースのつくり方について、株式会社SPACE PRODUCEが解説します。
 

なぜ集中ブースが使われなくなるのか

個別ブースは、外部の音や視線を遮り、集中できる環境を作るために導入されます。
しかし実際には、「使われないまま空席になっている」という声が増えてきました。

原因のひとつは、“過度な閉鎖感”です。

人は狭く囲まれた場所に長時間いると、圧迫感を覚えやすくなります。特にオフィス内では、周囲の様子がまったく見えない空間に入ることで「閉じ込められているような感覚」や「話しかけられない緊張感」が生まれやすくなります。これは、集中を支えるどころか、むしろ使いにくさにつながってしまう要因です。
 

集中と快適さを両立させる設計のヒント


どのようなブースであれば、働く方が「使ってみたい」と感じるのでしょうか?
ポイントは、“物理的な遮断”と“心理的な開放感”のバランスにあります。

まず、完全に壁で囲うのではなく、「視線の抜け」を意識して背面や上部に開放感を残すこと。天井をあえてなくす、背中側を低くするなどの工夫で、視界と空気の抜け道が生まれます。これだけでも、圧迫感は大きく軽減されます。

また、照明の色も重要です。昼白色のような白い光は緊張感を高める傾向がありますが、暖色系のやわらかい光を取り入れることで、落ち着いて集中しやすい空間に変わります。

さらに、ブース内の素材にも注目してください。スチールや硬質樹脂など冷たい印象の素材は無意識のストレスにつながるため、木目調や布張りなど、温かみのある素材を選ぶことで、安心感のある空間を演出できます。
 

実際に“使われる”空間にするための配置の工夫

空間の質だけでなく、「配置」も大きなポイントです。
集中ブースが執務エリアの隅や別室にあり、使いにくい場所にあると、利用率は一気に下がります。

一方で、適度な距離感で配置されたブースは「ちょっと使ってみようかな」と思える存在になります。通路沿いではなく、周囲に人の気配が感じられる場所。視線は遮られているのに、孤立していない。そうした“心理的なつながり”がある配置が理想です。

また、ブース使用中であることを示す簡易表示(フラグや札)を設けておくことで、「使っていいのかわからない」といった戸惑いも解消されます。
 

閉じるのではなく、整える

集中ブースというと、“閉じること”ばかりが強調されがちです。
しかし本当に求められているのは、「閉じて安心できること」ではなく、「居心地よく整っていること」です。

働く方が自然にそのスペースを選び、短時間でも集中できたと感じられる。
そのためには、遮断ではなく「開放との調和」を意識した設計が欠かせません。
 

最後に

集中して作業できる環境を整えたいと考えたとき、「とりあえず個別ブースを置く」という手法に頼ってしまいがちです。ですが、働く方が本当に使いたいと感じる空間には、心理的な快適さや、配置、素材選びなど細かな配慮が必要です。

もし現在のブースが“空席”になっているのであれば、その原因は設計にあるかもしれません。
働く方の目線に立ち、集中と安心を同時に満たす空間とはどんなものか?
その問いから、御社のオフィスを見直すきっかけになるかもしれません。

株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装作業にとどまらず、経営者、従業員の皆さまにとって、より良いオフィス空間をご提供いたします。

ぜひお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。