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ウィズコロナ時代のオフィス移転で立地エリア・利便性を考えるときに重要な3つのポイント

#オフィスレイアウト



オフィス移転は、企業にとって大きなプロジェクトです。ブランディング、生産性、仕事へのモチベーションなど、様々な方面へ影響を及ぼします。だからこそ、失敗は避けたいところです。オフィスのデザインや機能などが大きくものをいうのは当然ですが、それ以前に場所の選定も同様に大切になってきます。近年の動向と合わせてその重要性を説明します。

ただし、オフィス移転における重要なポイントは、業種や職種によっても異なる部分もあるため、以下には相反する内容も含まれることを、先に弁明しておきます。

コロナウイルスによって変化が見え出した最近のオフィス移転状況


帝国データバンクが2021年9月に発表した「首都圏・本社移転動向調査」によると、同年1月〜6月までに首都圏外への本社移転を行った企業が、大幅に増えたことが明らかになりました。テレワークの普及に伴い、オフィスに出社することの意義が見直されはじめたことの影響だと考えられます。

しかし、その一方で、首都圏へ転入する企業の数も近年と比較して多かったということも明らかになりました。つまり、首都圏を出るメリットもあれば、いまだに首都圏に入っていくメリットもあるということです。では、どのような目的を持って、その判断を行っていくべきかについて以下に解説していきます。

オフィス移転が「単なる増床」だけが目的(または減床)だと失敗してしまう理由


「もともとそうだった」のですが、コロナ禍によってオフィスという場所がより一層、「ただ働くだけの場所では不十分」な空間である必要性が高まってきています。なぜなら、ただ働くだけなら「自宅でできる時代」になったからです。つまり「オフィスでしかできない」「オフィスだと業務がはかどる」がないと、社員にとってオフィスに行く動機もないのです。

オフィスがわざわざ出社する動機がある場所でなければならないということはわかりました。そこで移転先の立地、エリア選定はどうあるべきかというと、大前提は「通いやすい」こと。自宅でもできることを、あえて出社して行うのであれば、出社することで得られる「プラス」よりも、移動・通勤に伴う「マイナス」がそれを上回っては「不満」という結果が残ります。それでは以下に3つのポイントを説明していきます。

ポイント1・モチベーションアップにつながる移転先のエリア選定なら良し


単なる増床だけを目的に、たとえば最寄りの○○駅から徒歩15分の場所に移転をしたとしたら、社員にとっては負担にしかなりません(来客にもメリットはありません)。一方で、業界のトップ企業などが集中するエリアで働けるのであれば、刺激を受けたり、ブランディングとしてモチベーションの高まりを期待できることもあると思います。

先述の内容とも重複しますが、そこで大切なのが、プラスとマイナス面の収支がプラスに終わることです。業界の一流企業と型を並べて働ける刺激的なプラスに対し、「でも駅から遠い」というマイナスのバランスをいかに図れるか。15分ではなく、7〜8分のあたりを検討したり、業界の中心地と呼ばれるエリアを名乗れる範囲の「2〜3番目の最寄駅」を選ぶなどの工夫を図るのも手です。

ポイント2・移転前と移転後の通勤や距離感、所要時間の変化を軽視すべからず


社員にとって、勤務先と自宅の往復となる通勤は時間・コストを伴う問題です。移転は一方的に社員に対して日常の行動様式の変化を求める行為ですから、その変化が小さく済むのであれば、その方が好まれる傾向にあるでしょう。たとえば、同じ駅やエリア内での移転であれば、変化が少ないのは想像に難しくないと思います。

それが難しい場合でも、たとえば同じ沿線上での移動であれば、社員にとっては乗り換えの回数が増える可能性は少なくできます。乗り換えを要してしまう場合でも、利用が多いと考えられるターミナル駅での乗り換えがスムーズに行える路線変更など、そのあたりの利便性への想いやりが、社員満足度を下げないポイントとなります。

ポイント3・ウィズコロナ時代に合った出社・通勤の考え方が必要


コロナ禍を経験した社会では、人々は家で過ごす時間が否応なく増えたことによって、ウェルビーイングを意識するようになり、プライベートとのバランスを大切にするようになっています。コロナの流行の波がこれからどうなっていくかまだはっきりと見えない中で、出社という行為はリスクにもなりますし、子どものいる家庭などで、感染や濃厚接触などが起きると放置できない現実があり、そこでも出社はコストとなります。

「ウィズコロナ」を意識するのであれば、出社・通勤に伴うリスクやコストを軽減してあげられてこそ、社員の働きやすさは実現されるのではないでしょうか。社員全体の平均通勤時間や居住エリアの分布などから、通勤時間の軽減を意識した移転先の選択も必要となってくると思います。必ずしも首都圏のオフィス街に居を構えることが正解というわけではないということです。

まとめ


オフィス移転は社員全員から100点を得ることは不可能です。150点を与えてくれる社員もいれば、50点を付ける社員もいるはずです。その中で、立地選定はマイナス分を減らす要素が強く、場合によってはプラスαを与えられるものという位置付け。いかに働きやすさを提供できる場所を選んで、「評価の平均を上げられるか」が全体的な満足度の高さを実現する鍵となるでしょう。