「会議室」は、さまざまな情報共有や伝達、意思決定が行われる空間。ビジネスの場において、いかに会議・ミーティングというものが大事なのかは、あらためて言うまでもありません。しかし、会議室難民という言葉もあるぐらい、オフィスで働く社員は会議室の使い方に不満を持っています。それは単なる数や面積の不足、ルールなどのソフト面の問題など様々な原因があるようです。ここでは社員が会議室不足に困らないようにできるオフィスのあり方を提案します。
会議室が使いたい時に使えないことによる問題点
会議室不足によって起こりうる問題
・仲間との情報共有の遅れ
・商談相手への大切な情報伝達の遅れ
・機密情報などの漏洩
仕事仲間と「情報」を共有したり、商談等でクロージングのために核となる「情報」を伝えたり、コミュニケーションをとることはどんな仕事をするにしても必要なことです。そのための場所として利用される機会が多くなるのが、会議室ではないでしょうか。スピーディな情報の共有や伝達が、ビジネスの勝敗を左右するだけに、そうした機会が損なわれてしまうキッカケとなりかねない会議室不足は、実は深刻な問題です。また、同じ会社の人間同士であっても知ることができる範囲が決まっている情報、プライベートな問題などの同僚に知られたくない情報など、「広く拡散してはいけない情報」の漏洩は企業としての命を絶つ可能性すらあります。だからこそ、会議室は社員がある程度、満足感を持って使える数や広さ、利便性を備えている必要があるのです。
会議室不足が起きている原因
純粋な数や面積の不足
たとえば、事業拡大などのフェーズにあり、採用が順調かつ、お客様をオフィスに招いて商談をする営業スタッフが多いような会社であれば、すぐに会議室が足りなくなるはずです。仮に、お客様に来客してもらっているのに、会議室がないような事態になると、それはもはや末期症状に近く、早急に増床やレイアウト変更などを検討すべきです。ただ、会議室の利用は商談だけでなく、社内の部署やチームミーティング等で使用することも多いですが、お客様優先のような文化があれば、おざなりにされるのが社内のミーティングでしょう。
また、会議室の面積は、利用状況にあっているかという問題もあります。利用目的にあった部屋を選択できることも不足の原因となっています。2人での会議室利用に対して、8人掛けのテーブル席しかない会議室だとしたらデッドスペースが生まれていることになります(あえて演出として広い空間を利用することもあるので、必ずしも悪いわけではない)。
会議室利用ルールの不遵守
会議室予約システムを導入している企業は増え、予約することは手軽にできるようになっていますが、終わりの時間が守られないことは少なくないようです。会社の社長や役員などの管理職者が行なっている会議なら、なおのこと一般社員は中断を申し出にくい空気を感じることだと思います。特に上席に該当する人間のルール徹底は、社員の会議室利用ルール遵守に良い影響を及ぼすことが期待できるため、徹底したいところです。
また、お客様との商談が長引く場合もあると思います。このケースで時間を守って強制終了のような形を取るのは相手にも失礼に当たりますし、何より“例えいいところであっても、時間がきたの終了”とはいかないため、他の利用者を考慮せずに延長して使っているケースはたくさんあるはずです。そうした場合に、ほかの人間が融通を利かせて別の空き会議室を使えるようにするためにも、常に稼働率100%という状態は避けたいところです。
会議室不足を解消するためにオフィスができること
会議室の稼働率65〜70%を確保する
社内にどれぐらいの会議室が必要なのかは、一定の答えが存在しません。人数や業務内容、職種の割合など様々な要素によって適正な数は変化します。一般に言われていることとして、会議室の稼働率は70%ほどが理想と言われています。この数値が低すぎるのであれば、コストパフォーマンスの低いスペースとなっていますし、100%を達成しているのであれば、上述のようなバッファを見込んだ利用ができなくなってしまうため、使い勝手が悪くなってしまうのです。
現状、会議室が足りない状況の中で、簡単に増床に踏み切れないという悩みもあると思います。その場合オフィスの床面積をどのように使うかという問題になってきます。そういう場合に打てる対策として考えたいのが、リモートワークの導入。業務内容によって、在宅などのオフィス外で行える仕事は、リモートワークを導入し、そこで余裕が生まれた空間を生かして会議室数の増加を図ることができます。
会議室代わりに使える空間の提供
会議室の利用状況を見たときに、必ずしも個室空間でなければならない訳ではない用途もあるはずです。ちょっとした相談事であったり、何らかの業務のレクチャーなど、主に社内の人間同士が会議室利用するケースに多いでしょう。そのような利用目的に対しては、テーブルに椅子、そこにモニターやホワイトボードがあれば、会議室がわりとして利用するのではないでしょうか。
エントランス付近のオープンスペースなどがあれば、社員だけでなく仮に来客であっても使ってもらうことはできますし、万が一大切な情報を見られてしまうこともない(執務スペースとは切り離されている)ため、情報漏洩などの観点からも問題にはなりません。ほかにカフェスペースやリフレッシュルームなど多目的な空間などが考えられます。
Web会議の活用
前述の、会議室の代わりに使える空間というのは、必ずしもリアルな空間に限らず、Web会議を利用することで、有限の空間を利用することなく済む場合もあります。反対に、Web会議を利用するにあたって、個人ブースや1人用の個室のようなWeb会議がしやすい空間を提供するという考え方も、今増えてきています。
まとめ
会議室を社員に満足に使ってもらうには、社内でどのように使われているかの実態を把握することが第一のステップとなります。数が足りないのか、どういう目的で使っているのか、ルールは守られているのかなど、不足している原因や取れる対策が見えてくるはずです。まずは今一度、利用状況を調査してみることをお勧めします。