電話対応と集中作業が交錯するオフィスの課題
電話業務を行う方と、静かな環境で集中したい方が同じ空間にいると、双方のパフォーマンスに影響が出ることがあります。音が原因で業務効率が落ちたり、気を遣い合うことでストレスが溜まるケースも少なくありません。今回は、電話と集中作業が両立できる空間づくりの工夫を、株式会社SPACE PRODUCEが解説します。
1. なぜ音のストレスがパフォーマンスに影響するのか
オフィスにおいて「音」は、気づかぬうちに作業効率に影響を及ぼす存在です。特に、電話の声は話者の感情や抑揚が伴うため、周囲にとって予測しづらく、集中の妨げになりやすい傾向があります。また、電話の内容に他の従業員が無意識に気を取られてしまうことで、結果的に生産性が低下してしまうという問題もあります。
2. ゾーニングで音のストレスを減らす工夫
音の発生源と集中したいエリアを明確に分ける「ゾーニング」は、職場に静けさとメリハリを与えるうえで効果的です。
電話業務専用エリアを設ける
電話が主業務となる従業員の方には、入り口付近や窓側など、音が広がりにくい場所に専用デスクを配置します。パーティションや吸音素材を活用し、会話の音が周囲に届きにくい空間をつくるのがポイントです。
集中ブースや静音ゾーンの活用
静かに作業したい従業員の方には、壁側や人の動線が少ないエリアに配置された「静音ゾーン」を。簡易ブースやデスク周囲の遮音パネルを取り入れることで、音の干渉を防ぎます。
“声を出すスペース”と“出さないスペース”を分ける
会議・打ち合わせ・電話などで声を出すエリアと、資料作成や設計・開発など声を必要としない作業を行うエリアとを明確に分けることで、お互いに干渉しづらい環境になります。
3. レイアウトと素材で解決できること
ゾーニングの考え方をレイアウトに落とし込む際には、空間と素材の組み合わせにも注目してください。
吸音材を活用した壁や天井の工夫
話し声の反響や音漏れを抑えるためには、吸音素材の導入が有効です。パネルや天井材の一部を吸音仕様にすることで、空間全体が静かに保たれます。
家具の配置で音の流れを変える
収納棚や背の高いパーティションを活用すれば、視線と音を同時に遮ることが可能です。電話の多いゾーンと集中ゾーンの間に視界を遮る工夫を入れるだけで、心理的にも物理的にも「分断」を感じやすくなります。
ガラス素材で“見えるけど聞こえにくい”を実現
完全な個室ではなくとも、ガラスの仕切りで視覚的に開放感を保ちつつ、音だけはしっかり分けるという方法もあります。話しかけやすさと集中のバランスを保てる設計です。
4. 社内ルールや文化にも配慮を
物理的なゾーニングに加えて、日常のコミュニケーションにおいてもストレスを抑える取り組みが欠かせません。
“音を出す場面”のガイドラインを設定
「電話は〇〇エリアで」「打ち合わせは〇〇スペースで」といったルールを自然に共有することで、お互いが気兼ねなく過ごせるようになります。
イヤホンやヘッドセットの活用を推奨
個人の声量が抑えられるよう、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドセットなどを取り入れることで、音の漏れを軽減できます。
誰もが安心して意見を出せる環境づくり
「電話が気になって集中できない」「静かすぎて話しかけづらい」などの声が上がったときに、それを気兼ねなく共有できる雰囲気も大切です。レイアウトと同様に、“意見の通り道”も設計に含めていくことが望まれます。
最後に
電話の声が多いオフィスと、静けさを求めるオフィス。それぞれの業務があるからこそ、音のストレスを減らすための空間のゾーニングが重要になります。空間を切り分け、視線・動線・素材・ルールを組み合わせることで、職場の雰囲気が大きく変わる可能性があります。
株式会社SPACE PRODUCEでは、働く方のエンゲージメント調査やヒアリングを実施し、ただの設計・内装作業にとどまらず、経営者、従業員の皆さまにとって、より良いオフィス空間をご提供いたします。
ぜひお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。